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個性的な甲州ワイン

当店にある日本の白ワインのうち、およそ半分近くを占める甲州ワイン。
香りは穏やかで緩やかな酸味、柑橘的な果実味とアフターに広がる心地よい苦み。
判で押したような甲州ワインの特徴ですが、この甲州らしさに固執するあまり、
平均的にレベルが高い典型的な甲州が市場に出回っているように思います。

もちろん適正な価格で普通に美味しいワインが広く流通することは
素直に喜ばしいことなのですが、ワインの魅力のひとつ「個性を楽しむ」
という観点からすると、もう少し我の強い甲州ワインがあってもいいのではないか、
そんな思いも頭をよぎります。

そこで今回はちょっと変わった個性派甲州をご紹介!まずは


★丹波ワイン/生詰未濾過(甲州)2012
濾過も加熱処理もせず、生詰めでボトリングしました。やや辛口で、
酸味と果実味のバランス良く、かすかな苦みが全体を引き締めています。
はものエスカベッシュや鱸のマリネ、茄子の揚げ浸しなどと相乗します。

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入荷したばかりでまだ飲んでいないのですが、未濾過の甲州ということ、
そしてボトルデザインに惹かれました。
はものエスカベッシュや鱸のマリネ、茄子の揚げ浸し。非常に具体的で
食卓のイメージが湧いてきます。


★マルスワイナリー/甲州ヴェルディーニョ2012
2012年9月に甲府盆地で収穫された適熟甲州葡萄から、フリーランジュース
のみを用いて低温発酵し瓶詰め。発酵由来の炭酸ガスがわずかに溶け込んだ、
活き活きとした味わいが特徴です。
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気分的には夏向けですが、最初の一杯には最適。アルコール度数も10度と低めで
クリスピーな触感が気持ちいいです。柔らかくおおらかな酸とじんわり染みこむ
優しい果実味。こういうポジションの甲州は唯一無二かもしれません。


★ココファーム/甲州FOS2009
「甲州F.O.S」は淡くやわらかな白ワインとは正反対です。可能な限り葡萄から
香りと成分を抽出し、赤ワインをつくるように皮と共に発酵させました。
(注意:これは白ワインです。)他の白ワインとは違う、深い色、
広がりのある複雑なアロマ、渋味がつくる口当たりの強さを有するワインになりました。
すべての人に受け入れられるとは思いません。でも、“常識破り”に興味のある方、
冒険したい方は普通でない、パワフルな甲州をお楽しみください。

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それまで飲んだ事のある甲州ワインと比べて目から鱗だったワイン。
ブランデーを思わせる凝縮感のあるアロマ、ほとばしる苦みとその奥にある繊細な旨み。
ファーメンティッド(F)・オン(O)・スキン(S)、果皮を浸漬したままの発酵。
甲州ブドウのあらゆる個性を引き出した、ある意味ココファームのフラッグシップ
なのではないか、とさえ思っています。

ワインの個性が強すぎてお料理には?と思われるかもしれませんが、これが
中華料理などと好相性。チーズなど発酵食品全般にも面白そうです。

造りはだいたい同じでも醸造家によって味わいが異なってくるのがワインの面白さ。
狭いようで実は深い甲州ワインの世界に、分け入ってみませんか!?

Dai Aramaki
by kokusan_fujimaru | 2013-09-29 16:42 | ワイン全般